この記事を書いている2024年2月現在、65歳以上の高齢者に支給される年金
超高齢化社会がやってくると、支給年齢がどんどん上がっていきます。
そう遠くないうちに支給開始年齢が70歳に引き上げられると言われていますね。
若い人が老後を迎える頃には年金がもらえないんじゃないか?
年金がもらえないなら何故毎月支払わなければいけないのか?
などと疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。
多分、年金がもらえないってことはないと思いますが、支給年齢は70歳まで上がっても仕方がないのかなと思います。
高齢化社会ですし、会社も70歳まで雇用するような動きがありますし(定年70歳の努力義務化とか)
何のために払っているのかよくわかんないとか、何で毎月こんなにも高い年金を支払ってるのかなどと思っている人もいるかと思いますが、年金って保険みたいなものなんですよね。
収入がなくなる老後生活の手助けをするための保険が年金です。また、後述しますが、年金は高齢者以外で助かる人もいる制度なんです。
今回は、あらためて年金に関する基礎知識を書いてみたいと思います。
今回は基礎知識編です。
年金についてざっくりと説明しています。
今後、詳細な説明記事も書いていく予定ですが、とりあえず年金ってこんな感じなんだなと理解していただけると嬉しいです。
年金ってなに?
「年金は老後になったら支給されるお金」と思っている人がいるのですが、それは年金制度の1部です。
老後の生活だけではなく、障がいを負った時や、成人し、年金を支払っている家族が亡くなった時に、社会みんなで暮らしを支え合う社会保険
これが年金です。社会保険なんです。老後のための貯金ではありません。
高齢者でなくても、もしもの時に自分自身が年金で助かる可能性があると考えると年金を支払いたくないという考え方にはならないのではないかなと思います。
年金には強制加入の公的年金と任意加入の私的年金があります。
公的年金とは?
公的年金は強制加入の年金です。
20歳になると加入しなければならない国民年金と、会社員や公務員が加入する厚生年金保険があります。
日本の公的年金は国民年金が基礎年金としてあり、その上に厚生年金がある2階建構造と言われています。
※厚生年金の上に後述する個人年金を加えて3階建構想と言う人もいます
国民年金の加入者
国民年金の被保険者(加入している人)は次の3種類に分けられます。
1)第1号被保険者
20歳以上60歳未満で日本国内に住所がある自営業者や学生など
2)第2号被保険者
会社員や公務員など厚生年金に加入している人
※20歳未満でも会社員なら加入
3)第3号被保険者
20歳以上60歳未満で国内に住所がある第2号被保険者に扶養されている配偶者
※扶養→自分の稼ぎで生計を立てられない家族や親族に対して経済的な援助を行うこと
国民年金には任意加入制度というものもあります。
・日本国内に住所がある60歳以上65歳未満の人
・日本国籍がある人で、日本に住所のない20歳から60歳の人
また、第1号被保険者は学生さんなど一定の条件を満たした場合には保険料の免除や猶予があります。
国民年金の保険料
この記事を書いている2024年2月現在の保険料は以下の通りです。
被保険者 | 保険料 |
第1号被保険者 | 16590円/月 |
第2号被保険者 | 厚生年金保険料の算出計算式により算出 |
第3号被保険者 | 負担なし |
公的年金の給付
公的年金の給付は主に次の3つです。
1)老齢給付
多くの人がイメージする年金給付で、65歳から受け取ることができます。
老齢基礎年金と言いいます。
ただし、受け取るためには受給資格期間を満たしていなければいけません。
受給資格は、
保険料納付済期間+保険料免除期間+カラ期間が10年以上であることです。
カラ期間とは受給資格期間には反映されるけれど、年金額には反映されない期間のことを言います。
保険料納付済期間の合計や保険料免除期間の長さ等によって貰える年金の額が違います。
当たり前のことですが、毎月しっかりと年金を払った人とそうでない人では将来的に貰える年金の額が違いますので注意しましょう。
厚生年金に加入している人は、老齢基礎年金にプラスで65歳以上になると老齢厚生年金が支給されます。
これこそが、公的年金が2階建構造と言われる理由です。
厚生年金も支給額は加入期間によって違います。
また、厚生年金の加入期間が20年以上の人で65歳未満の配偶者または18歳未満の子がいる場合は、65歳以降の老齢厚生年金にプラスで加給年金が支払われます。(配偶者が65歳になると支給停止)
老齢基礎年金、老齢厚生年金共に計算式によって金額を求めます。
今回はざっくりと概要の説明のみですので、詳細記事を書いたときに計算式も説明したいと思います。
繰上げ受給と繰下げ受給
老齢年金は65歳よりも早く年金の受け取りを開始する繰上げ受給と、65歳よりも遅く受給する繰下げ受給があります。
繰り上げ→60歳から64歳までの間
繰り下げ→66歳から75歳までの間
尚、繰り上げ受給をした場合は65歳から支給される予定だった年金額から減額になり、繰り下げ受給した場合は65歳から支給される予定だった年金額に加算がされます。
老齢厚生年金も繰り上げや繰り下げができます。
ただし、繰り上げは老齢基礎年金と同時に行わなければなりません。
2)障害給付
病気や怪我が原因で障害者となり、一定の要件を満たした時は障害給付を受け取ることができます。
障害給付にも、障害基礎年金と障害厚生年金があります。
障害厚生年金には給付金の他、手当金があります。
【要件】
初診日に国民年金の被保険者であること。または、国民年金被保険者だった人で60歳以上65歳未満の国内に住所がある人
障害認定日に障害等級1級、2級に該当すること(障害厚生年金は3級も該当)
※障害認定日→初診日から1年半以内で傷病が治った日。治らなかった時は1年半経過した日
【保険料納付期間】
原則として、保険料納付済期間+保険料免除期間が被保険者期間の3分の2以上あること
※原則の要件を満たさない場合は直近1年間に保険料の滞納がないこと
障害基礎年金の給付金は2024年2月現在、年額が777800円です。
1級は1.25倍になります。また、子どもがいる場合は加算額があります。
障害厚生年金は計算式によって金額が求められます。
遺族給付
被保険者や被保険者であった人(年金受給者)が亡くなった場合の遺族の生活保障として遺族給付があります。
遺族給付にも遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。
1)遺族基礎年金
国民年金の加入している被保険者が亡くなった場合で一定の要件を満たしている遺族に支給されます。
【受給できる遺族の範囲】
亡くなった人に生計を維持されていた子または子のある配偶者
※子の要件※
①18歳到達年度末まで(18歳になって最初の3月31日)の子
②20歳未満で障害等級1級または2級に該当する子
【保険料納付期間と給付金】
障害給付と同じ
2)寡婦年金と死亡一時金
国民年金の第1号被保険者の独自給付として寡婦年金(かふねんきん)や死亡一時金があります。
【寡婦年金】
老齢基礎年金の受給資格を満たしている第1号保険者の夫が年金を受け取らずに亡くなった時に妻に支給される年金
※条件等※
①10年以上婚姻期間がある妻
②受給期間は妻が60歳から65歳に達するまで
③夫には寡婦年金は支給されない
【死亡一時金】
第1号被保険者として合計3年以上の保険料を納付していた人が年金を受け取らずに死亡し、遺族が遺族基礎年金を受け取ることができない場合、遺族に支給される給付
寡婦年金を受け取ることができる妻の場合はどちらかを選択する
3)老齢厚生年金
厚生年金の被保険者が亡くなった場合、一定の要件を満たしている遺族は遺族基礎年金に遺族厚生年金を上乗せして受け取ることができます。
【受給できる遺族の範囲】
亡くなった人に生計を維持されていること
優先順位は①妻・夫・子 ②父母 ③孫 ④祖父母 の順ですが、夫や父母・祖父母については55歳以上であることが条件になります。子と孫の条件は遺族基礎年金の子の条件と同じです。
【被保険者期間と年金額】
被保険者期間が300月以上。300月に満たない場合は300月とみなして年金額を計算します。
年金額は計算式に基づき算出します。
4)中高齢寡婦加算と経過的寡婦加算
夫が亡くなった時に、以下に当てはまる妻に対して遺族厚生年金に一定額が加算される金額を中高齢寡婦加算と言います。妻が65歳になると打ち切りになります。
①40歳以上65歳未満の子のない妻
②子がいても40歳以上65歳未満で遺族基礎年金を受けとることができない妻
中高齢寡婦加算の打ち切りにより年金が減少する分を補うための制度を経過的寡婦加算と言います。
私的年金とは?
矯正加入の公的年金に上乗せして任意に加入する年金のことを私的年金と言います。
私的年金には企業が任意に設けている企業年金と、個人が任意で加入する個人年金があります。
確定給付型
将来支払われる年金の額があらかじめ決まっているタイプの年金制度です。
・厚生年金基金
・確定給付型企業年金
があります。企業が任意で設けている年金制度になります。
確定拠出型
一定の掛金を加入者が拠出・運用し、その運用結果によって将来の年金金額が決まるタイプの年金制度です。
企業型と個人型の2種類があります。
確定拠出型の年金はDC(Defiend Contribution Plan)と言います。
そして、この制度の個人型タイプのことをiDeCo(イデコ)と呼ぶのです。
1)企業型
70歳未満で厚生年金の被保険者が対象です。
ただし、規約で一定の年齢未満に定めることも可能となっています。
【掛金の拠出限度額】
①確定給付型の年金を実施していない場合
年額:660000円
※規約で個人型年金への加入を認める場合は年額で420000円
②確定給付型の年金を実施している場合
年額:330000円
※規約で個人型年金への加入を認める場合は年額で186000円
2)個人型(iDeCO)
加入対象者は65歳未満であることと、下記の4つに当てはまることです。
1)自営業者等
2)厚生年金の被保険者
3)専業主婦等
4)国民年金の任意加入被保険者
60歳以上で加入できるのは4)と、60歳以上の第2号保険者に限ります
【掛金の拠出額】
① 1)と4)に該当する人
年額:816000円
② 3)に該当する人
年額:276000円
③ 2)に該当する人
🔹確定給付年金+企業型確定拠出年金も実施なしの場合:276000円/年額
🔹企業型確定拠出年金の実施ありの場合:240000円/年額
🔹確定給付年金の実施ありの場合:144000円/年額
🔹公務員等:144000円/年額
確定拠出型のポイント
🔹個人で運用・管理するため転職や退職の際に年金資産を移管(ポータビリティ)できる
🔹通算加入期間が10年以上ある人は、60歳以降に老齢給付金を受給できるが、75歳までに受給開始しなければならない
🔹支払った掛金の全額が小規模企業共済等掛金(※次の項目参照)控除として所得控除の対象になる
🔹運用中に発生する収益は非課税
🔹老齢給付金の他、障害給付金や死亡一時金、脱退一時金がある
個人型の確定拠出であるiDeCoについては、興味がある人も多いと思いますので別の記事で説明する予定です。
自営業者等のための年金制度
自営業者等のための年金制度には以下の3つがあります。
1)付加年金
第1号被保険者は、毎月の国民年金保険料に月額400円を上乗せして支払うことで将来の老齢基礎年金に付加年金を上乗せして受け取ることができます。
上乗せ額:付加保険料(400円)を支払った月数×200円
2)国民年金基金
付加年金同様に、第1号被保険者が上乗せして年金を受け取ることができる制度です。
付加年金と両方に加入することはできません。
3)小規模企業共済
従業員が20人以下(サービス業は5人以下)の個人事業主や会社役員のための退職金制度です。
以上、簡単ではありますが年金制度を説明してみました。
勘違いしてはいけないのは、年金で老後の生活全てが賄えるわけではないということです。
年金はあくまで老後や障害を負った時の手助けになる制度です。
年金があるから安泰というわけではありません。(かと言って、支払わなくてもいいわけでもない)
普段から預貯金などの金銭管理をしっかりとしていくことと、毎月の安定した収入を得ることができるよう若いうちからの努力も必要になるのではないかと思います。
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