NTTドコモ モバイル社会研究所が2023年に発表した調査結果によると、60代のスマートフォン普及率は93%だったそうです。
70代でも79%がスマートフォンを使用しているそうで、60代に関してはスマホを所持して10年以上経過している人が4割もいたのだとか。
また、スマホの使用方法についてはインターネットでの検索やSNSなどの利用が多いそうです。
総務省が公表する「令和4年度通信利用動向調査」によると、60代のインターネット利用率は86.7%、70代でも65.5%という結果が出ています。
シニアのSNS利用率は60代で73.4%、70代で63.9%。
SNSはおそらくLINEを利用しているのだとは思います。PayPayで支払いをしているシニア層を見ることも珍しくなくなりましたし、本当に今やスマートフォンやインターネットは世代関係なく幅広く生活に密着していることがよくわかりますね。
そんな時代だからこそ生まれた言葉がデジタル遺品です。
デジタル機器には様々なデータが残っています。
例えば、光回線サービスを解約したからと言って、機器に残ったデータまで自動的に消去できるわけではありません。
スマートフォンを解約してもデータは残ったままです。
デジタル遺品をそのままにしておくとトラブルに巻き込まれてしまうこともあります。
今後、これまで以上に当たり前になってくるであろうデジタル遺品の処理や整理について考えてみたいと思います。
デジタル遺品ってなに?
デジタル遺品とはデジタル環境やデジタル環境を通した故人の記録や思い出になります。
例えば、
PCやスマホ・タブレット上に残っている記録やデータ
SNSのアカウント
ネット証券やネット口座
などが挙げられます。
遺品になる前にまずは生前に整理しよう
デジタル遺品の怖いところは、本人以外に知らないことが多いということかなと思います。
例えば、LINEは家族間でやり取りしていてもXやInstagramなど他のSNSをやっていることを知らないとか、実はYouTubeで動画配信をしていたとか…
PCがあるけれどロックを解除解除するためのパスワードがわからないとか、ネット口座やネット証券に口座を持っていることを知らないとか…
特に離れて暮らしている場合は、全てを把握していることはないと思います。
スマホを契約しているキャリアは簡単にわかりそうですが、光回線を契約している会社がよくわからないなんてこともあるのではないでしょうか。
後述しますが、デジタル遺品をそのまま残しておくと後々にトラブルになる可能性もあります。
まずは、家族が知らない(または知らないであろう)デジタルな情報について自分で整理しておく必要があります。
SNSのIDやパスワード、ネット口座やネット証券などの情報、PCのロック解除パスワードなどはエンディングノートに記載しておくといいのではないかと思います。
その他、写真などはPCやスマホと言った媒体上やクラウドサービス上に残しておくのではなく、SDカードやHDDなどの外付けのものに残すという方法もあるかと思います。
そして、何よりも基本的なことは使わなくなったサービスはしっかりと解約しておくことですね。
以前は利用していたけれど、利用しなくなったSNSはアカウント削除をしておくことや、ネット口座も利用しないのであれば解約しおきましょう。
契約も解約も面倒な手続きなのですが、特に解約は面倒だし後回しにしてしまいがちです。
後回しにしていると、いざ解約しようと思った時にIDやパスワードがわからなくなってしまいます。
そうなると、どうでもよくなってしまい、結局解約せずに残り続けることになります。
人によっては一通り全てのSNSに登録してみたり、写真などをクラウドサービス上に保存したりするかと思います。
PCやスマホなどの機器は初期化すればいいのですが、初期化をしたところでSNSアカウント等まで自動削除されるわけではありません。
デジタル遺品を放置することで起こりうるトラブル
SNSアカウントを放置し続けたところで特に問題はないのでは?
エンディングノートにIDやパスワードを書いておく意味あるの?
そのように思う人も多いのではないかと思います。
デジタル遺品に
デジタル遺品を放置しておくことによるトラブルにはどのようなものがあるか考えてみたいと思います。
月額利用料が発生し続ける
例えば、サブスクサービスに登録していたけれど、そのことを遺族が知らないと月額利用料が発生し続けてしまいます。
故人の口座を凍結しないと月額利用料が引き落としされ続けますし、口座凍結後に請求書や催告書が届いたりします。
請求遅延により、支払ったとしても延滞利息まで払わなければならなくなる可能性もあります。
相続に関する問題
ネット口座を利用していた場合、そのことに遺族が気づかないと財産が相続されずにネット口座上に残ったままになります。
口座の存在に気づくのが遅いと、後から相続の申告をしなければならなくなります。
そうなると、相続漏れとして相続税額にペナルティとして税金が上乗せされたり、遺族間で相続に関するトラブルが起こる可能性もあります。
ネット証券の存在を遺族が知らず放置されている時もネット口座同様のトラブルが起こる可能性があります。
また、利益ではなく負債が残っていた場合の支払い義務は遺族になります。
本人が不在のため実際に遺族が支払うことは殆どとは思いますが、場合によっては支払いをしなければならないこともあるかと思います。
SNSアカウントの乗っ取り
XやInstagramのアカウントを乗っ取れた経験がある人もいるのではないでしょうか。
長い間放置しているアカウントは乗っ取られやすいのではないかと思います。
乗っ取られたアカウントが悪用されて犯罪に利用されてしまう可能性も考えられます。
遺族に迷惑がかかることは殆どないと思いますが、匿名アカウントとは言え自分が生前に利用していたアカウントが悪用されるのは嫌ですよね。
個人情報漏れ
最近は滅多にいないと思いますが、PCやスマホ・タブレットを処分する時に初期化せずに処分してしまうと個人情報が機器上に残ったままになります。
個人情報が漏れてしまった時の恐怖は説明不要ですよね。
ぱっと思いつくだけでもこれだけあります。
ネットを使ったサービスは入会が簡単なので軽く考てしまいがちですが、放置しておくと後々が怖いです。
デジタル遺品の整理まとめ
現在の60代、70代のインターネット利用率やスマホ普及率が上がってきたことで注目されるようになったデジタル遺品。
50代以下になるとPCやスマホの処分も当たり前のようにしていると思いますので、今後もますます注目されていくと思います。
デジタル遺品の整理はとにかく若いうちからの生前整理をしっかりと行なっておくことだと思います。
利用しなくなったサービスは確実に解約する、利用しなくなったSNSのアカウントはちゃんと削除しておく、無駄に複数アカウントを作らないようにしておきましょう。
そして、利用しているネットサービスはいざという時に家族がすぐに把握できるようにエンディングノートに記入しておくようにしましょう。
新NISAが話題になっていますが、昨今の経済事情から投資に興味を持つ人も増えてくると思います。ネット証券やネット口座を開設する人も今後はますます増えるのではないでしょうか。
口座に残った預貯金や負債は相続にも関わってきます。
ネット口座の情報もきちんと分かるように残しておきましょう。
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